税制改革
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2022年 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

相続については、相続税の改正を把握する事も重要な事だと存じます。2022年の国税庁の税制改正を正しく理解する事で、改正に至らなかったものも理解する必要があります。
今後も税制改正は行われますので、都度調査する事が大切です。

令和4年度税制改正の大綱 (資産課税)
(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/04taikou_02.htm)

■直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置が延長かつ縮小、改正で2年間延長、2023年12月31日まで贈与を受けた者ごとに省エネ・バリアフリー住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。
但し、諸要件があります。

■非課税額の変更

適用期限は2年延長されたものの、贈与税の非課税枠は以下のとおり縮小しました。

非課税額の変更

※消費税率8%で取得・もしくは個人間売買の中古住宅購入者は改正後も変わらず、一定基準の住宅で1000万円。その他の一般住宅は500万円の非課税枠となる

上記の様に今回の改正で500万円ずつ非課税額が減少しています。 非課税額を超える贈与には、別で贈与税が課税されるため、贈与額を増やしたい方は、年間110万円以下(暦年贈与に気をつける事)の金額を数年に分け贈与してもらう方法もあります。初年度に500万円の贈与を受け、翌年から毎年100万円ずつ贈与してもらう、という方法です。昨今の110万円贈与は税務署の目に止まりますので、詳しい税理士に相談し、贈与額や贈与の時期を正しく検討する事も重要です。

■受贈者の要件

1. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)
(配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。)
2. 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上
成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられる[2022年4月1日~適用]
(令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」)
3. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
4. 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと
5. 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること
(受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。)
7. 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合を除きます。)。

なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
8. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
(災害により住宅用の家屋に被害を受けた場合には、
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8007.htm(災害を受けたときの贈与税の取扱い)

■対象物件の条件変更

非課税枠と同時に、対象物件の条件も以下のとおり変更されました。

対象物件の条件変更 税制改革

贈与対象の中古住宅については、改正前は築年数20年以内(耐火建築物は25年以内)という条件がありましたが、廃止されました。2022年以降は1982年1月以降の新耐震基準適合住宅の購入であれば、贈与の対象となります。中古住宅のリノベーションを考えていて、購入・増改築費用の贈与を受ける場合は、条件についてよく確認する必要があります。


成年年齢の変更による暦年贈与と相続時精算課税

■贈与を受ける人の年齢引き下げ

これは2022年の成年年齢引き下げによって成年年齢が、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。それに伴い、成年年齢の引下げに応じて、相続税法も改正され改正点のうち、「暦年贈与」と「相続時精算課税」を取り上げます。

暦年課税における贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額を差し引いた後の金額に税率を乗じて税額を計算します。

( 贈与財産の価額  ー  基礎控除額110万円 ) × 税率

特例税率、贈与年の1月1日において20歳以上(改正前)の者が直系尊属から受けた贈与に適用される税率で、一般税率に比べて税負担が軽くなります。一方、特例税率以外の贈与税計算に用いられる税率が一般税率となります。令和4年4月1日以後の贈与については、特例税率の適用年齢が贈与年の1月1日において18歳以上となります。

贈与を受ける人の年齢引き下げ

なお、贈与後3年以内に、贈与者が死亡した場合には、贈与税がかかっていたかどうかに関係なく、相続税の課税価格に加算する必要があります。尚、相続財産を取得しない方への贈与であれば、加算の対象外となります。


相続時精算課税

原則、贈与年の1月1日において60歳以上の直系尊属から、1月1日において20歳以上(改正前) の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。令和4年4月1日以後の贈与については、特例税率の適用年齢が贈与年の1月1日において18歳以上となります。

 相続時精算課税制度の贈与税は、その選択した年以後、その年の1月1日から12月31日までの1年間にその選択した贈与者から贈与を受けた財産の合計額から特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において既に差し引いた金額がある場合は、残額が限度額となります。)を差し引いた後の金額に一律20%の税率を乗じた税額となります。

{ 贈与財産の価額  ー  特別控除額(最大2,500万円)} ×20%

相続時精算課税の特徴は、贈与と相続を一体として課税する考え方です。将来、値上りが予想される土地や株式などを贈与する場合に節税効果が期待できる方法ではありますが、一度選択すると「暦年贈与」には戻ることができませんので、この制度を選択する際には、注意が必要です。
令和4年4月1日以後の贈与については、特例税率の適用年齢が贈与年の1月1日において18歳以上となります。


負担調整措置

■土地に係る固定資産税等の負担調整措置
(1)土地に係る固定資産税の負担調整措置
  令和4年度限りの措置として、商業地等(負担水準が60%未満の土地に限る。)の令和4年度の課税標準額を、令和3年度の課税標準額に令和4年度の評価額の2.5%(現行:5%)を加算した額(ただし、当該額が、評価額の60%を上回る場合には60%相当額とし、評価額の20%を下回る場合には20%相当額とする。)とする。

(2)土地に係る都市計画税の負担調整措置
  固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。


農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

(1)農業経営基盤強化促進法等の改正を前提に、農用地利用集積計画の農用地利用集積等促進計画(仮称)への統合等の措置が講じられた後も、引き続き、農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度を適用する。

(2)博物館法の改正を前提に、同法の規定により登録を受けた博物館及び指定を受けた博物館に相当する施設について、審査基準の見直し等の措置が講じられた後も、引き続き、特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度等を適用する。
(3)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を1年延長する。


登録免許税

(1)住宅用家屋の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。

(2)次の特例の適用対象となる住宅用家屋の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることを加えた上、その適用期限を2年延長する。

1.住宅用家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
2.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
3.住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置

(3)特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。

(4)認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。

(5)マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。

(6)農業経営基盤強化促進法等の改正を前提に、農用地利用集積計画の農用地利用集積等促進計画(仮称)への統合の措置が講じられた後も、引き続き、利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置を適用する。

(7)農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。

(8)相続に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
1.適用対象となる土地の範囲に、市街化区域内に所在する土地を加える。
2.適用対象となる土地の価額の上限を100万円(現行:10万円)に引き上げる。

(9)帰還・移住等環境整備推進法人が取得をした不動産に係る所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長する。


印紙税

(1)不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
(2)特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を3年延長する。

  その他については
URL(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/04taikou_02.htm)でご確認ください


国税

(1)相続税に係る死亡届の情報等の通知について、次の見直しを行う。
1法務大臣は、死亡等に関する届書に係る届書等情報等の提供を受けたときは、当該届書等情報等及び当該死亡等をした者の戸籍等の副本に記録されている情報を、当該提供を受けた日の属する月の翌月末日までに、国税庁長官に通知しなければならない。
2市町村長は、当該市町村長等が当該市町村の住民基本台帳に記録されている者に係る死亡等に関する届書の受理等をしたときは、当該死亡等をした者が有していた土地又は家屋に係る固定資産課税台帳の登録事項等を、当該届書の受理等をした日の属する月の翌月末日までに、当該市町村の事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。
(注)上記の改正は、戸籍法の一部を改正する法律の施行の日以後に適用する。
(2)信託に関する受益者別(委託者別)調書について、「信託財産の価額」の欄に記載すべき相続税評価額の算定が困難な場合には、見積価額を記載しなければならないこととする。
(注)上記の改正は、令和5年1月1日以後に提出すべき事由が生ずる調書について適用する。
(3)不動産登記法の一部改正により創設される相続人申告登記等の職権登記について、登記官が職権に基づいてする登記に対する登録免許税の非課税措置を適用する。


地方税

〈固定資産税・都市計画税〉
(1)価格が上昇した土地であっても税額を据え置く特別な措置が令和3年度に講じられたことに伴い、当該特別な措置の適用対象となった土地に係る令和3年度の価格について、令和4年4月1日から令和3年度の納税通知書の交付を受けた日後15月を経過する日までの間においても審査申出をすることができることとする。
(2)農業協同組合法の改正を前提に、改正後の農業協同組合等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。


不動産取得税

(1)農地中間管理事業の推進に関する法律等の改正を前提に、市町村が策定する農用地利用集積計画が農地中間管理機構が策定する農用地利用集積等促進計画(仮称)に統合されることに伴い、所要の措置を講ずる。
(2)農業経営基盤強化促進法の改正を前提に、農林水産大臣の認定を受けた農地所有適格法人について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(3)農業協同組合法の改正を前提に、改正後の農業協同組合等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(4)2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催に伴い、(公社)2025年日本国際博覧会協会が博覧会の用に供するために取得した一定の家屋に係る不動産取得税について、非課税とする等の所要の措置を講ずる。


事業税

(1)農業協同組合法の改正を前提に、改正後の農業協同組合等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。


美術品に係る相続税の納税猶予

■特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度
博物館法の改正を前提に、同法の規定により登録を受けた博物館及び指定を受けた博物館に相当する施設について、審査基準の見直し等の措置が講じられた後も、引き続き、特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度等を適用します。


非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予

■非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を1年延長します。


生前贈与の改正

生前贈与について、2022年改正では生前贈与の節税を封じる改正はされませんでした。ただし、翌年度以降に改正される可能性があります。
「暦年課税制度がなくなる」などの改正が稟議されてきましたが、改正されませんでした。相続税では、亡くなる前の3年以内に受けた生前贈与(暦年課税)は全てなかったものとみなし、相続税の課税対象に加算する「生前贈与加算」を行わなければなりません。



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